2023.11.01
生後半年を過ぎると多くの赤ちゃんで見られる「人見知り」。これまで、人見知りの強い赤ちゃんのいる母親に対して「赤ちゃんが他人と母親を区別できるようになった証拠」「単に相手を怖がっているだけ」と言う人も多かったのではないでしょうか。
実は、赤ちゃんは生まれてすぐに他人と母親を区別することがすでに研究報告されています。赤ちゃんは生まれてすぐに他人と母親の区別ができているにも関わらず、生後半年を過ぎるとなぜか人見知りする―人見知りはなかなか謎めいた行動なのです。
その謎に迫ったのが、東京大学 大学院総合文化研究科の岡ノ谷 一夫教授と、JST戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究「岡ノ谷情動情報プロジェクト」の松田 佳尚元研究員(現 同志社大学 特任准教授)らが2013年に発表した論文「人見知りの赤ちゃんは接近したい気質と避けたい気質が葛藤している。最初に顔を見る時は相手の目に敏感である。」です。
論文によると、人見知りが強い赤ちゃんほど、相手を怖がる気質が強かったという結果と、人見知りが非常に強い赤ちゃんと非常に弱い赤ちゃんの両方が、相手に接近する気質が強く、人見知りが中程度の赤ちゃんは接近する気質が低かった(2次の相関)であることを紹介。
この2つの結果から、人見知りの強い赤ちゃんは「怖がり」と「接近」の両方の気質が強い傾向であることがわかります。
このように、心の中に相反する感情が存在し、そのいずれをとるか迷うことを「葛藤(かっとう)」といいます。学童期の子どもを対象とした心理学研究ではすでに、「人見知りとは接近と回避の葛藤状態である」と報告されています。
確かに、人見知りの赤ちゃんは、ママに抱っこされて安全な場所から相手のことをじーっと見ていることがあります。
近寄りたいからじっと見る、でも怖い―赤ちゃんなりに葛藤しているのでしょうね。
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